たまにエッセイ本も読みます
ノウハウ本やライフスタイル本というのかな、そういう本をよく読むわたしですが、たまにはエッセイも手にとったりします。図書館のいいところは、うろうろ歩いて本棚のタイトルを見てるだけでも楽しくなってきて、「これよんでみようかな」なんて思うと、タダで借りられる!ところ。
よしもとばななさんは、数年前はよく読んでたんだけど、最近は少しマイブームが過ぎて、新刊などはチェックしてなかった。こちらは震災後、ばななさんのご家族(評論家の吉本隆明さんが父親)がお亡くなりになった結構ツラかったであろうときに書かれた珠玉のエッセイたちです。
『小さな幸せ46こ』
小さな幸せ46こ よしもとばなな
久々のばなな節、やっぱり好き。
そういうちょっと大変なときに書かれたことを考えるとタイトルの「小さな幸せ」っていうのはすごく深い意味に感じますね。よしもとばななさんは5年くらい前までは公式サイトに毎日のように日記を書いておられて、そのときはもっと固有名詞(犬の名前とか)を書いて連載していたので、今回その子たちがもう少し離れたような書き方で登場していて、(全然知らない犬や猫なのに)ああ、これゼリ子ちゃんのことだ、とか妙に親しみが湧いたのがわれながらおもしろかった。
何気ない瞬間に、幸せはそこにある。
よく言われることだけれど、改めておもうのは、「幸せ」というものは、どこか遠くに探しても見つかるものではなくて、追い求めても絶対にたどりつかない。けれど、足元をふと見てみるとそこに最初からあったんだ。という種類のもの。まるで探しものを探していて、諦めたとたんに思いもかけないところから出てくるという、あのマジックと同じような仕組みなんだと思います。
こういう文章って、すごく簡単そうに書いているけれど、そういうものこそ難しい。小説を毎日毎日、子育てしながら書くこと。軽妙な文章を(きっとうんうん唸りながら)書き続けること。よしもとばななさんだけでなく、きっと仕事をしているすべての人が、孤独な「やるべき作業」を続けつつ生きている。
けれど、ほんとうに小さな小さな日々の出来事のなかにあるきらめきの瞬間を、ただ見逃さないように努力している人が、みんなきっと平等に降り注いでいる「小さな幸せ」にたくさん気づいて感謝しているから、ちょっとだけ人より多く幸せを感じる瞬間が多くみえるだけなのだろうなと思うのでした。
こんな人におすすめ
「なんだかちょっと疲れちゃったから、ほっこりよい気分になりたいな。」というときにぜひどうぞ。ふと手にしていくつかのエッセイを読んでみる。手元に置いてたまにページを見ずに開いてその文章を読む、なんていう読み方もよさそうな、こころがすうっとする本です。
気分転換したいときとか、「ついてないなー」なんて思っちゃったりするときに読むと効果的かな。あと動物好きな人はより共感できるかも!