11月8日は皆既月食が起こる日
11月8日火曜日、この日は晴れで気温も低くないとの予報だったので、ふと思い立って月食を撮影してみようと、カメラを持って海岸へ向かいました。皆既月食は1〜2年に一度は起こる天体現象ですが、今回は食の時間も長くて条件がいいのだとか。
月は、18時9分から欠け始め、19時16分に皆既食となります。皆既となった月は、「赤銅色(しゃくどういろ)」と呼ばれる、赤黒い色に見えます。皆既食は86分間続いて20時42分に終わり、その後は徐々に月は地球の影から抜けて、21時49分に部分食が終わります。この進行は、どこで見ても同じです。
国立天文台の皆既月食・天王星食(2022年11月)解説
海岸で夕暮れからスタンバイ
この日の日没は16時42分。それからほどなくして月が上り、約1時間後の18時9分から月食がスタート。わたしが海岸に到着したときにはすでに満月が上りはじめていて、大きな姿を見せていました。
大磯北浜海岸は、大磯港から平塚市との境にある金目川河口まで続く砂浜の海岸で、波が高い日にはサーファーの姿も多い場所。南東の向きにやや寄っているのか、富士山は山の裏手に隠れて見えず、夕陽もその方向へ沈んでいきます。
大磯港の灯台に明かりが灯りはじめると、いよいよ夜がやってきます。
月もだいぶ明るく見えるようになってきました。
海岸沿いに西湘バイパスが走っていますが、北浜海岸のあたりは海岸線に道路はそれほど迫っていないので圧迫感は少ないです。だいたいいつも人はまばらで、海岸の防波堤沿いを散歩したりジョギングしたりする人がちらほらいる程度。今回は明かりが少ないところで観察するのがよいなと思い、道路から海岸への入口から少し離れた暗い場所を選んでカメラを構えることにしました。
皆既月食を撮ってみる
天体系の写真を撮るときは、三脚は必須。いつもは身軽にいたいのでほとんどカメラに三脚をつけることはありませんが、露出と手ブレ防止のために星や月をしっかり撮影するには、明るいうちに設定をして、三脚やタイマーなどを駆使して撮影する必要があります。
以前はちょこちょこ星景写真などにチャレンジしていたのですが、ここ数年すっかりだったので、カメラの設定などをネットでおさらい。(あとで参照リンクご紹介します)まずは明るい満月をしっかり撮影してみます。
明るい満月をどう撮るか?もちろん見た目通りの色合いを目指すのもいいのですが、ホワイトバランスを変えて、青っぽくしたり黄色みを強くしたりして印象を工夫するのも楽しいです。
これはほぼ白黒に近い色合い。隕石衝突の跡とか月の海と呼ばれるエリアもよく映っています。
今までも何度か月にカメラを向けたことはあったのですが、ここまで高倍率の望遠レンズ(これは35mm換算で600mmの更に倍ズームの1200mm相当で撮影)での撮影は初めてだったので、ほんとに望遠鏡で見ているようでちょっと感動してしまいました。
月食スタート
パシャパシャ撮影しているうちにあたりは真っ暗になり、月も少しずつ欠けはじめました。
満月を撮影したのと同じ条件でそのまま欠けていく様子を撮影するとこんな感じ。
食が進んでくると光が減ってくるので、満月撮影と同じ条件(ISOとシャッタースピード)だと単なる三日月みたいな感じに映るだけになります。そこで今度は、影のうっすら赤い部分が映るように設定を変更して撮影してみたのがこちら。
光の調整が難しかったけど、なんとか赤い部分も撮影できました!(あとの現像で少し調整もしています)
だんだん時間が進んで皆既月食になるときが近づいてきました。
この赤い色と明るい白い光の間に見える青黒い光は、ターコイズフリンジと呼ばれ、部分月食の欠けた部分に現れる青い帯のこと。成層圏のオゾン層で青い光以外が吸収されるために生じるのだそう。この写真でもなんとなーく赤と白の間に青まではいけないもののそれっぽい薄黒い部分があるのがわかります。
月食のしくみって?
ところで月食ってなんで起こるんだっけ?月が地球の影に入るんだよね?それってどういうこと?
ということで、少し復習してみました。
地球の影の中を月が通過することによって、月が暗くなったり、欠けたように見えたりする現象が「月食」です。月食は、太陽-地球-月が一直線に並ぶとき、つまり、満月の頃だけに起こります。ただし、星空の中での太陽の通り道(黄道)に対して月の通り道(白道)が傾いているため、ふだんの満月は、地球の影の北側や南側にそれたところを通ります。そのため、満月のたびに月食が起こるわけではありません。
国立天文台天文情報センターより
太陽の周りを地球が回っていて、その地球の周りを月が回っていて・・・の構造をアタマで考えるとややこしくなるけれど、こうやって図解されるとなるほどなーと思いますね。なぜ月食は度々しか起こらないのだろう?という疑問も、太陽の通り道と月の通り道がずれてるから、という答えで納得です。
皆既食
さて、19時15分を過ぎ、皆既月食がスタート。これは月がすっぽり地球の影に覆われてしまう状態のこと。
皆既食に入るとより一層赤銅色が強くなっていきます。皆既の期間が長いので、そろそろ冷えがからだに回ってきて、海辺からは撤収することにしました。
地上から肉眼で見ても皆既中は赤く光る月になっていました。
皆既月食中の月が赤黒い色になる理由
ところで、皆既月食中の月が赤銅色と呼ばれる赤黒いになるのはなぜ?
調べてみると、空気中の光の見え方と関係があるようです。先に出てきたターコイズフリンジもこの影響なのかな。その昔理科できっとこういうの習ったはずだけど、意外と覚えてないもので、改めて調べてみるといろんなことが学べますね。
大気によって散乱されにくい赤い光だけが、弱められながらも大気を通過します。そしてこのとき、大気によって屈折して経路が曲げられて、本影の中に弱い赤い光が届きます。この光が皆既月食のときの月面を照らすため、赤黒く見えるのです。
国立天文台天文情報センターより
天王星食も撮れてた!
ところで、今回の皆既月食では、ものすごく珍しい天王星が月に隠れる天王星食というのも同時に見られることが話題になっていました。とはいえ、天王星って6等星くらいで、肉眼ではよほど条件が良くないとほとんど見えない星。自分が見ることは不可能だと思っていたのですが。
撮影しているうちに、写真左下の白い星が天王星なのでは?と思い、確認してみるとまさにドンピシャの位置。望遠レンズで撮影すると暗い星も見られるようです❗
このときは、もう家に帰ってきて自宅の縁側みたいなところで撮影していたのですが、月がかなり上のほうにあり、食が進むにつれちょうど電線の変なシルエットが月に被ってしまい・・・うまく撮影ができなくなってしまいました。残念。
皆既が終わり明るさが戻っていく
カメラの位置を少しずらして、かんたんな夕食を摂ったのち、ふたたび撮影開始。もう皆既は終わり部分月食の状態になっていました。赤色だった月が、少しずつ明るさを取り戻して、白っぽい色になっていきます。
最後、満月撮影のパターンでふたたび月を撮影し、この日のセルフ月食観察&撮影会は終わりとなりました。途中からは家の中からの撮影だったけど、なかなかうまくいって満足満足😊
動画も撮ってみた
カメラの液晶から見る月があまりにもいい感じだったので、写真とあわせて動画も少しだけ撮ってみました。FacebookではUPしたのですが、また別途YouTubeに上げるので、完成したらここに載せます。完成度は高くありませんが臨場感はあるかな?
撮影機材RX10Ⅳは超望遠が優秀なカメラ
今回の撮影には、最近野鳥観察の相棒となっているソニーのネオ一眼と呼ばれるレンズ一体型のデジカメRX10Ⅳが大活躍しました。このカメラはコンデジと言うにはあまりにも大きく、でも一眼レフやミラーレスといったレンズ交換式のカメラでもない大型デジカメです。
このカメラの魅力や特徴についてはまた別途記事にしたいなとは思いますが、今回の月食撮影には動画も含めて大活躍してくれました❗
月と月食の撮影で参考になったサイト
撮影にあたっては下記リンク(写真の撮り方を解説しているStudio-9さんのサイト)を参考に設定などを行いました!
【22年11月8日】意外と簡単!皆既月食の撮り方完全マニュアル。詳しい設定やタイムスケジュールもまとめたよ!
【完全保存版】手持ちのカメラで月をキレイに撮影する方法![満月から三日月まで]
シャッタースピードと露出の設定が最初はわかりづらいのと、いざ月食がスタートしたらカメラの設定画面やダイヤルが暗くて見えず、マメな設定変更も難しいので、日が暮れるまでにある程度設定を決めて保存するなどの工夫をしておくと撮影しやすいなと思いました。星とはまた撮影の仕方も違うのでなかなか月の撮影も奥が深くておもしろいですね。