ちょっと時期は戻って、夏の大磯で鳥見といえば、というお話です。
大磯・照ヶ崎海岸はバードウォッチャーの聖地
大磯に越してくるまで、鳥全般に興味もなく全く知らなかったのですが、実は大磯は夏〜秋にかけてアオバトが海水を飲みに来る海岸があるというのでバードウォッチャーにはよく知られている場所でもありました。
照ヶ崎海岸は、大磯港のすぐ東にあって、そのあたりだけ少し岩礁が残っているゴツゴツした岩の海岸です。ここに5〜11月初めあたりまで、丹沢の山からアオバトという珍しいハトが海水を飲みに集団でやってくるというので、県指定の天然記念物にも指定されています。
ちなみに、大磯町の鳥は当然「アオバト」で、町の観光キャラクターはアオバトをモチーフにした「いそべぇ」と「あおみ」ちゃんというカップル?だったりします。彼らは町内の看板とか地図にもたまに登場します。
朝から鳥見の同志がたくさん
家から照ヶ崎海岸まで歩くと20分弱。この日は大磯海水浴場も開いていて人が多く訪れていました。海水浴場と港を通り過ぎて、ポイントに到着したのは午前8時過ぎ。すでにたくさんの先客の鳥見の人たちがカメラと三脚を構えて陣取っていました。
野鳥を見るようになって初めて知ったのですが、バードウォッチングのベストシーズンは冬〜春にかけて。春〜夏は子育てシーズンで鳥がナーバスに、夏場は鳥がいる森や林に緑の葉が生い茂っていて、肝心の野鳥を見つけづらいという理由です。わたしたち夫婦が野鳥観察を本格的にするようになったのは今年の5月頃。その後徐々にハマっていったのですが、なんせまだまだド素人なので、夏の森で小さな鳥たちを発見すること自体めちゃめちゃ難しいのを実感しました。
で、この大磯のアオバトは、そんな夏場に「行ったら絶対見られるレア鳥がいる」というので、ガチ勢も多数やってくる夏のバードウォッチングの聖地のような場所だったのでした。
アオバトとは
大磯に越してくるまで、アオバトっていうハトがいることすら知らなかったのですが、このアオバト、黄色っぽい色をしたハトで、見るとけっこうかわいらしい鳥でした。
山からミネラル求めて海岸に
海水飲むのは命がけ全長33cm。上面は暗緑色、頭から胸にかけては明るい緑黄色をしています。オスには翼の雨覆羽に赤褐色があります。全身ほぼ緑色をしているのでアオバトです。古来日本でのアオは緑色を指しています。くちばしは青灰色で脚は赤紫色。「アーーアオーアオー」「ウーウワァーオー」などと唸るような声でさえずります。ハト類は木の実・草の種を主食にしているため、ミネラル類が不足します。そのため、アオバトでは海岸へいって海水を飲むことが知られています。日本特産種で、北海道から九州までの広葉樹林に分布し、繁殖しています。
サントリー日本の鳥百科 アオバトより
ここ以外にも日本国中アオバトが海水を飲むスポットはあるようですが、ここが日本最大の飛来地なのだそう。照ヶ崎海岸、岩も3〜4つくらいしか見えない小さな岩礁なので、まさかここが!?と驚きました。
アオバトがやってきた!
日の出から午前10時くらいまでがアオバト飛来のピークだということで、朝8時過ぎに現地到着。アオバトは集団で山のほうから飛んできて、波が被らないよう気をつけながら岩礁に降り立つということでした。
空を見ると、いるいる!遠くから見ると普通のドバトに見えなくもないけど、よく見ると明るい色おハトがこちらに向かって飛んできていました。
岩礁に着地して水を飲む
アオバトは何度もあたりを旋回し、そのうちの何匹かは急降下をするものの着陸せず、ということを繰り返していました。
見ていると、時々そのうちの何羽かが岩に着地!小さい岩なので、着地するだけでも大変そうです。
何度も何度もやってくるアオバト
アオバトは、岩に開いた小さな穴みたいなところの水をどうやら飲むっぽい。波を被りそうになるとまた集団で飛び立ち、高麗山方面などをくるりと周回してまた降り立つ、ということを繰り返しているようでした。
カメラが突然別方向に
アオバトの飛び立つ様子をなんとかきれいに写真に収めるべく、慣れないカメラを手に奮闘していたところ、突然まわりのバズーカ砲みたいなカメラを持った鳥見のベテラン風の方たちが、一斉にアオバトではない別の方向にカメラを向け始めました。いったいなに?
ハヤブサの若鳥がアオバトを狙ってる!
ベテランさんたちのファインダーの先を見ると、見慣れない大きな鳥が!
「あ、ハヤブサだ!」と夫氏が叫んで、この鳥がハヤブサだということがわかりました。トンビはいつもこのあたりを飛んでいるけど、それ以外の猛禽類を見ることはほとんどないだけに、(わかってる人にとっては)興奮する鳥のようです。
ハヤブサは、どうやらアオバトを仕留めようと追いかけ回している様子。
追いかけるハヤブサ、逃げるアオバト。そしてそれを撮ろうと目まぐるしくファインダーを向ける鳥見のカメラギャラリー。どうやらこのハヤブサは若い個体だったようで、狩りも下手くそ?で、ハト捕獲作戦は失敗に終わったようでした。あまり生々しいシーンは見たくなかったので、個人的にはそれでよかったかなと笑。
アオバトが現れるのは5月〜10月末頃まで。大磯のボランティア有志の方がこのアオバトの個体調査を長年続けていて、毎年毎月の述べ飛来数をカウントして報告しています。詳しいことはサイト「こまたん」をぜひ参照してみてください。
大磯・照ヶ崎海岸へのアクセス
JR大磯駅から徒歩15分くらい?大磯港に大きな駐車場もあるので、アクセスはとてもよく、季節と時間(早朝〜10時頃までがベスト)を間違えなければほぼ確実にアオバトが見られるので、オトク?感があります。ここで最初にアオバトの集団を見てしまうと、どこにでもいそうな気になってしまうけれど、森の中でアオバトを見るのはかなりレアだったりします。