1.7-6 旅と仕事のバランス 2- Lifestyle ライフスタイル

旅と生活の関係は距離が近い方が幸せ

旅は非日常で、生活は日常?

旅について少し書いてみたいと思う。
旅行とか旅って言われるものは、いつもの日常から離れた非日常の世界。特に日本ではその傾向が強くて、「旅の恥はかき捨て」じゃないけど、いつもは慎ましやかな生活をしている人が、すごくゴージャスなホテルに泊まって、海外なんかでもいろいろお買い物して散財するようなことがあると思う。

特に年配世代にそういう感覚があると思うけど、逆パターンで、いつもそこまでケチケチしてないのに、急にものすごくお金にセコくなって節約旅が目的!みたいな人もバックパッカーなんかではいたりして。

その根底にある考え方が、旅は非日常のもので、日常からなるべく離れることが望ましい、というものじゃないかなと思ったりする。

旅の期間だけは、いつもの生活を忘れてパーッと豪華に、家事も忘れて、きれいな海を見たり、美味しい食事をしたりしたい、と。

旅をもっと生活に近づけたい

もちろんそういう旅のあり方、わたし自身も嫌いではない。スタイリッシュなデザインホテルの滞在や、海の見えるリゾートや、自然の中に佇む温泉旅館など、非日常空間、時間を満喫することもとても大事だし、旅の醍醐味のひとつでもある。

でも、気になるのが、旅をストレス解消の手段だけにしていないか?ということ。

今は非日常の世界、この旅行が終わったら、またふつうの日常に戻っていく…。で、またその日常を続けるのが辛くなる生活が続いて、それで次の旅を計画して、またそこでパーッとストレス解消のような旅をする、というあり方。それはちょっと違うんじゃないのかな、と思うのだ。

生活そのものが楽しくなるような工夫

実はこの命題は、昔、わたし自身が抱えた問題でもあって。ずっと旅だけしていたい、と思っていて、実際長期の旅もしたりしていて。でも、「ちょっと待てよ?」となったのだ。

旅がそんな現実逃避の手段である限り、日常に戻ったと感じたときに、がっかりしちゃうんじゃないかと。

そうじゃなくて、ふだんの生活をもっと旅みたいな(ちょっと抽象的だけど)ワクワク感が続くライフスタイルにすれば、まるでストレス解消手段のような非日常を求める衝動や、日常への不満がなくなるのではないかと思った。

そこから先は、人生の優先順位や生活そのものをガラリと変えて、旅以外でも毎日が楽しめるような生活になれるように動いてきたように思う。「電車で通勤絶対したくないから、手に職つけて自分でビジネスやる」とか「海が見えて、山が近い場所に住みたいから実行する」とか。

旅と生活のテンションを同じにすれば楽しいんじゃない?ってところから、自分の生活と旅への意識みたいなものも変化していったように思う。その関係性が近ければ近いほど、(妙なハイテンションでってことではなくて)旅してるときのような豊かな気持ちで、ふだんの生活ができれば、その人の人生はより幸せになれるんじゃないかな。

旅の役割って?

新型コロナウイルスの影響で、全世界でSTAY HOMEってなって、旅はおろか、どこにも外出しちゃいけませんって時間を過ごすことになった。これは世界の思考実験みたいなところもたぶんあって、きっとこれから自分たちも意識しないような変容がじわじわと起こってくると思う。

家から出ないでその場でなんとかやってよ、と言われて、家で仕事する人も増えたとき(わたしも自転車で通えるオフィスにすらあまり行かなくなってしまった)外に出て楽しむって何?わざわざ出かける旅って何?必要?なんで行くんだっけ?っていう本質的な問いをどこかでしているんじゃないかな。

オンラインでのセミナーやイベント、オンラインで体験、旅をするということすら提案されるようになって、今まで深く考えてなかった、実際に人と会うこと、その地に出かけることの意味みたいなものが炙り出されていて、きっと旅の役割も少しずつ変わってくる。その結論がどうなるかはまだ誰にもわからないけれど、旅のあらたな価値とか役割が、これから少しずつ見えてくるのかなと思う。

『英国シューマッハー校サティシュ先生の最高の人生をつくる授業』3 ーワンダラーユウコの読書ログ #019
「リトル・フォレスト夏・秋」を見て思ったこと

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